「どういうふうに情報を仕分けしてるんですか?」という質問を頂きました。
参考になるかどうか分かりませんが、分かりやすいように「アメリカ寄り」の情報の仕分け方(とらえ方)を書いてみたいと思います。事例としてのトピックは、「ポンペオ:中国によるウイグル人虐殺」にしましょう。
日本にいて残念なのは、アメリカなど日本の同盟国の情報はたくさん目にしますが、近いようで遠いお隣の国・中国の良いトピックスはほぼ流れて来ないことです。
中国が正しいということではなく、物事には多面性があるので、様々なソースにアクセスしつつ、自らの考えを作っていく必要があります。日本の場合、情報が一方通行で選択肢がないため、自らの考えを作っていくという過程がそもそもありません。
選択肢があったとしても、根拠のない陰謀論になってしまう。私はQの言い分についても目を通してきましたが、相手にするまでもないものでした。
仮に陰謀論を信じるのであれば、現地に行くとか、天皇家の財産が敗戦前になぜ敵国・イギリスに送金されたのかとか(エビデンスはイギリスで購入できます)、そういうアプローチをする必要がありますね。
話を戻しましょう。
ポンペオが退任直前、中国のウイグル人虐殺を主張したことに対して、多くの方は「あぁそうなんだ」という受け止め方しか出来ないのが現状です。そこで一緒に、中国側の主張を見てみましょう。念の為、米中どちらが正義かを決めるものではありません。
まず、1月20日に行われた、中国外交部の談話スクリプト(英語Ver)です。
英語がわからない方は→Google Translate(日本語)
どう感じましたでしょうか?
まとめると、下記です。
✅中国は新疆ウイグル自治区に関して8つの白書を発行
✅2019年には、国内外の旅行者が2億回以上新疆ウイグル自治区を訪問
✅100か国以上から、1,200人を超える外交官、ジャーナリスト、宗教団体の代表者が集まった
✅住民の平均余命は、過去60年ほどで30年から72年に伸びた
✅ウイグル人の人口は2010年から2018年にかけて25.04%増加
✅新疆ウイグル自治区全体の増加率である13.99%を上回った
✅漢民族の人口増加率である2%をはるかに上回っている
一方、ポンペオの主張は、エビデンスの提示もないままバイデン政権になっても続けられると見られています。
ジェノサイド=民族大量虐殺です。ウイグル人の人口動態を見る限り、大量虐殺は無いと思います。人口が増加し続けているからです。虐殺されていない人たちも、なぜかウイグルを出ていかないのです。出国は自由なのに。大量虐殺+出国で、人口は減るはず。
そしてこのような2国間対立の場合、2国の主張を見ているだけでは不十分。多くの方は中国側の主張を調べることはせず、アメリカ側の主張だけを信じます。これは思考的には極端にアメリカ寄りになります。つまり1国のみの情報で、2国に至ることはなく、3国以上になることはない。
ここから先に進める方は、5%いればいいほうです。
中国側の主張を調べた後で、次にイスラム国家はどんなことを言っているか調べます。一番良いのは、世界最大の政府間機関である、イスラム協力機構(OIC)のスタンスでしょう。中国の取り組みを歓迎しています。
調べ方でここまで行く方は、恐らく1%前後でしょう。この先は、もっと減ります。
これに対し、世界ウイグル会議という最もらしい名前の団体があり、中国を批判しています。99%の人は「やっぱりウイグルでは虐殺が起きている」というアメリカの主張に、「裏付けがある」と思い込んでしまいます。ここも検証する能力が必要になるので、英語が分からないと絶望的に検証が不可となります。
この世界ウイグル会議ですが、設立当初から全米民主主義基金(NED)の支援によって運営されてきました。また、以前よりCIAが秘密裏に介在している「民主化」活動団体です。対立の構図の裏にはアメリカによる狡猾な仕掛けがあるのですが、多くの人はこのような仕掛けを見抜くことが出来ずにいます。
下記はもっと面白い記事です。
英語が分かる方は読んで欲しい。分からない方は、DeepLで翻訳しながら読むと良いでしょう。アメリカが人権とか民主主義を言い出すと、裏に何かがあると思ったほうが賢いです。
こういう多面的な見方をしていきます。
極稀に「知った風」でマウントしてくる方もいるのですが(苦笑)、たいてい上から目線で「勉強したほうがいい」とか、「中国人だ」とか、「五毛党」だとか言ってきます。五毛党って、調べるまで知りませんでしたが。
私のスタンスとして、中国が新疆ウイグル自治区でウイグル人のコントロール(弾圧とは言いません)をしていないとは断言しません。現地を訪れた時は、そのような雰囲気は一切ありませんでしたが、政治については分からないことが多いものです。
政治的には、中国に肩入れもしませんし、アメリカに肩入れもしません。日本での情報が偏り過ぎている状況なので、自らが積極的に調べる必要性を感じて実行しているだけです。それが真の国際感覚だと思うからです。何も調べず、誰かを批判したり偏見を持つことは、誰の利にもなりません。
さらに、駐日イラン大使館などは明確にそのスタンスを示しているのですが、これもニュースになることはありませんね。
トランプは、あのトルーマンに次ぐ最も邪悪な人間らしいです。露骨です(笑)。
残念なのは、トランプがいなければ世界の平和はもっと良くなると思っていますが、バイデンも表面的には対中政策の難しい舵取りの中で、デカップリングを一部行うだろうというところです。アメリカはトップが変わっても変わらないところがあるからです。
仮想敵国がないと、儲け話もガス抜きも出来ないのでしょうね。
必要悪とも思いませんが、対立で株価やコモディティが下落するなら、それを機会に結びつけるくらいしか出来ません。でも、その機会の本質を見抜くために、多面的な思考があったほうが良いとうだけで、別にアメリカ寄りの情報に洗脳されているからと言って、不幸せになるわけではありません。
控えめに言って、先に行けないだけです。
現状に甘んじて受け入れるだけの時を過ごすか、積極的に情報を取りに行くか。そういう意味で、多面的な見方が出来る日本語の記事・メディアが増えて欲しいと願います。