KAZUMA|直感投資と戯言

直感投資家。昨年のリターンは650%ほど。チャートも見ますが時事ネタ等から直感で動くスタイルです。記事は話半分以下でお読みください。キングダムの考察はnoteで更新中。https://note.com/kazugaga

中国|レイ・ダリオに学ぶ、投資家が理解すべき中国のスタンス

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昨日のUXINの記事でも少し書いた、中国関連株への投資について。

investmax.hatenablog.com

 

多くの日本人は欧米主導のメディアしか見る機会がないので、中国の「より良い方向に向かう施策」を、「中国共産党による締め付け」としか受け取ることが出来ません。これは昨日の記事のみならず、ずっと書いてきたことです。

 

マーケットをより良い環境に変化させていくために、中国政府は時に段階を踏んで施策を講じてきます。この件に関して、レイ・ダリオが良い発信をしていたので、今日はご参考までに紹介したいと思います。

 

ソースはこちらです。

Understanding China’s Recent Moves in Its Capital Markets (linkedin.com)

 

大事なことなので、全文和訳でご紹介しながら解説してみます。その前に、レイ・ダリオが誰だか分からない方はいないと思いますが、念の為にご紹介。

 

レイ・ダリオ

アメリカ合衆国の投資家・ヘッジファンドマネージャーである。1971年にヘッジファンドのブリッジウォーター・アソシエイツをニューヨークで創業し、2013年には世界最大のヘッジファンドとなった。同ヘッジファンドは2021年現在で1000億ドル以上の運用資産を有する。純資産は203億米ドル(約2.2兆円)。

 

総資産2.2兆円(全世界で79位)の男が、どのように中国をとらえているか。投資家ではなくても、知っておいて損はないはずです。それでは全文翻訳を。

 

<レイ・ダリオ>

最近の中国の政策では、1)DiDiの上場とデータ利用のコントロール、2)中国の教育会社の非営利団体化などに関連する動きがあり、中国の資本主義や資本市場に対する疑念が生じているので、そこを明らかにするための一助になればと思います。

 

中国当局が国家安全法上の理由でDiDiの審査を始めると言い始めたことにより、同社の株価が下落しました。また、教育制度にもメスを入れました。DiDiの件に関する、中国サイバースペース当局の見解は下記。

 

<中国サイバースペース当局>

国家データ安全リスクを事前に防止し、国家安全を守り、公共利益を保障するため、《中華人民共和国国家安全法》《中華人民共和国サイバーセキュリティー法》に基づき、我々は《サイバーセキュリティー審査方法》を参照しつつ、滴滴出行にサイバーセキュリティー審査を実施する。この仕事に協力してもらい、リスクの拡大を防ぐという観点から、審査期間中、同社は新規ユーザー登録を停止することを要求することをここに通告する」

 

続きです。

 

<レイ・ダリオ>

事情をよく知らない人には混乱するのはわかります。私が中国に行き始めてから36年になりますが、政策決定者と直接接触しておらず、変化のパターンを詳細に追っていない欧米のオブザーバーの多くは、中国共産党が資本市場を使って発展を促進していることを信じていない傾向があります。

この40年間のトレンドは、明らかに資本市場による市場経済の発展、起業家や資本家の富裕化に向かっていたにもかかわらず、最近の2つの動きのように、共産党の指導者が真の反資本主義の傾向を示していると解釈しているのだ。その結果、彼らは中国で起こっていることを見逃してきたし、おそらく今後も見逃すことになるだろう。

 

今回のケースでは、政策立案者がDiDiに対して、上場を進めない方が良いかもしれないというシグナルを送っており、彼らがデータプライバシーの問題に対処したいと考えているのは理解できます。家庭教師会社の場合は、教育の不平等や、子供にこうしたサービスを受けさせたくても受けられない人たちの経済的負担を、広く利用できるようにすることで軽減したいと考えている。株主が嫌がっても、国のためになると信じているのです。

 

どこにも完成された国はありません。中国然り。レイ・ダリオが言うように、欧米の人たち、そしてそのメディアの情報しか見る機会がない日本人を含め、「中国で起こってることを見逃してきたし、おそらく今後も見逃す」ということです。

 

<レイ・ダリオ>

そのようなアナログ的な誤解がいくつもあったことを覚えています。

 

例えば、中国の個人投資家のバブルが崩壊したことで、政府が株を購入し、その後しばらくの間、政府が市場を操作しようとしたことを覚えています。また、2015年から16年にかけてPBoCがバンドを広げたことで中国の通貨が急落し、多くの投資家がこれらの動きを「政策当局が資本市場の発展から遠ざかっている証拠だ」と指摘したことを覚えています。

 

懐疑的な投資家の中には、このような動きが多くの資本主義市場で何度も起こっているにもかかわらず、また、米国やその他の先進国市場における財政・金融政策の介入は、中国政府による市場への介入に比べてはるかに大きいにもかかわらず、これらの動きを不適切な反自由な市場介入と見なしていた。

 

中国の政策担当者は、このような状況下でも、その影響をうまく処理し、目標を追求した。つまり、彼らの行動の方向性は決して変わらなかった。それは、資本市場の迅速かつ着実な発展、起業家精神、外国人投資家への投資開放を支持するものでした。ですから、皆さんには、誤解したり、くねくねしたものに焦点を当てすぎたりせず、トレンドを見ることをお勧めします。

 

多くの国が行っている規制と同様、中国も国を統べるための施策を実施する。日本のメディアには「締め付け」という言葉しかないので、ネガティブに捉えられています。レイ・ダリオも、誤解せずにトレンドを見ようと言っています。

 

<レイ・ダリオ>

中国は国家資本主義体制であり、国家が多くの人々の利益のために資本主義を運営しており、政策立案者は資本市場の人々や金持ちの資本家の敏感さに邪魔されることなく、国の多くの人々にとって最善と思われることを行うということを理解する必要があります。

 

むしろ、資本市場や資本家の人々は、システムの中での自分たちの立場を理解しなければ、間違いの結果に苦しむことになる。例えば、お金持ちであることを、物事の成り行きを決定する権力を持っていることと勘違いしてはいけません。 また、急速に発展する資本市場の環境の中で、中国の規制当局は適切な規制を検討しているので、規制の変更が速く、明確でない場合は、このような混乱が生じ、それが反資本主義的な動きと誤解される可能性があることも理解する必要があります。

 

結果的に反資本主義的な動きと誤解される点があったとしても、適切な規制をして市場を国民の最大利益になるように動いているのが中国です。

<レイ・ダリオ>

また、グローバルな地政学的環境の変化によって、何かが変わることも理解しておく必要があります。

 

例えば、アメリカ政府が中国企業のアメリカでの上場に関する方針を変更したり、アメリカの年金基金が中国への投資を禁止すると脅したりするなど、政策の変化が見られます。 このようなことが将来起こることを想定し、それに応じた投資を行う。しかし、このような小刻みな動きをトレンドの変化と誤解したり、中国の国営資本主義が西洋の資本主義と全く同じになると期待したりしてはいけません。

 

投資家にとっては上記が最も大事なことです。地政学的環境とは、主に米国の対中政策のことでしょう。前回の記事で書いた通り、そこを織り込んで投資をする必要があります。「中国の国営資本主義が~」というところも、全く同意見です。米国は中国に対して米国式資本主義の押し付けをしたがりますが、それは中国にとっての正義でも何でもありません。嫌がらせ以外の何者でもない。

 

<レイ・ダリオ>

そうは言っても、中国の政策担当者が自分の動きの理由をもっと明確に公に伝えないのは残念なことだと思います。

 

投資に関しては、アメリカと中国のシステムや市場にはチャンスとリスクがあり、お互いに競争したり、分散したりする可能性があると思います。したがって、どちらも自分のポートフォリオの重要な一部として考えるべきだと思います。このような動きを、過去数十年間のトレンドの反転と誤解して、怖がらないようにしていただきたいと思います。

 

中国の政策に関しては、まず「Do」を走らせるところがあります。最初から100点を目指さない。ただ、矢継ぎ早に政策決定することがあるので、十分な説明や意味付けがないまま走らせることもあります。これは中国人や中国で生活したことがある人であれば知っています。

 

当然、深い考えがあってのことですが、はたから見れば「説明もなしにいきなり!」と思ってしまうわけです。最後のパラグラフで、レイ・ダリオが言ってるのはここです。明確に伝えて欲しい、と。私個人的には、最近は頑張って発信しているように思えます。まだまだかもしれませんが(笑)。

 

日経新聞なども、ネガティブな捉え方しか出来ていないので、当然日本人然りです。

www.nikkei.com

 

中国がGDPで世界トップに立つというトレンドの反転は起きません。本当にグローバル企業になろうとしている急成長企業が多いのが中国です。資本主義の旗手である米国は、当然面白くないでしょう。米国式資本主義モデルが負けるわけですから。でも、中国というマーケットで体力をつけた急成長企業は、その体力で様々なチャレンジが出来ます。米国はNo.1にこだわらなくて良いと思います。

 

キャッシュが潤沢な企業も多い。一時的な株価の下落は当然あると予想しつつ、やはり中国関連株のポテンシャルには足を突っ込んでおきたいですよね。

 

最後に、米国発のアプリより使い勝手の良い中国発アプリが増えてきてます。個人的にLarkなどは、もう手放せないアプリです。こういうふうに書くと「情報が抜かれる」ととにかく騒ぎ立てて怯える人もいますが、仮に情報を抜かれたとして、命を失うようなたいそうな人なのでしょうか。政治的に狙われるような大物なのでしょうか。そうでない限り、「情報が抜かれる」という点においては、米国も中国も変わりがありませんよ。その対価が利便性なのです。 

  

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