ZUUMA|直感投資と戯言

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NIO|CCTVで特集が組まれ、ナショナルブランドとして認知度アップ

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NIO(中国語では蔚来=ウェイライ)が、CCTVで特集が組まれ放送されました。

 

CCTVは中国国営放送で、近年はYouTubeでも動画投稿数が増えています。中国国内では視聴者数が10億人を突破し、人口カバー率もほぼ100%に近い放送網です。つまり、影響力がかなり大きい。

 

一体、どんな特集だったのでしょうか。

 

CCTVによる放送

中国語が分かる方は、解説不要だと思いますのでリンク先の動画をご覧ください。

tv.cctv.com

動画の説明文

◆消費社会 20220106 国産品の光(4):新ブランドの台頭

近年、自動車や家電製品、美容や食品など、消費者の間で人気を博している新しいナショナルブランドが増えています。 新しいナショナル製品の台頭は市場に新しいエネルギーをもたらし、ナショナルブランドはトレンディでクールなものにもなり得ます。

 

中国が誇るべき…とは言ってませんが、国産ブランドが新しいマーケットで台頭しており、EV業界ではNIOが注目ブランドということです。

 

NIOの特集

約4分強の時間をかけて、企業・経営者・車体・バッテリースワップ技術まで、NIOの魅力満載の特集となっています。

 

<具体的には>

✅NIOが当たらに発表したET5は、発表後に注文が殺到し10分間アクセスが止まってしまうほどの人気だった。

✅2014年11月に設立されたばかりの若い企業で、メルセデス・ベンツやBMWなど従来のハイエンドブランドと比較されてきた。

✅施設や充電設備、バッテリースワップのサービスネットワークへの投資もユーザーに認められている。

✅バッテリースワップステーションの建設費は1,000万元近くと高価。予備バッテリーへの投資も高価だが、世界をリードするプレーヤーでありたい。なぜなら、7年もの間、この技術開発を続けてきた企業は存在しない。NIOは実際に15万人のユーザーにサービスを提供している。我々のリソースによって、我が国の大きな産業が大きな発展を遂げる手助けになるでしょう。(NIO)

 

CCTVでピックアップされる威力

ここで勘違いしてはいけないのですが、CCTVで特集されたから株価上がるぞ~!ということではないのです。もちろん、株を買う人がいるかもしれませんが、一番重要なのは「中国人が自国ブランド(NIO)のEVを愛すること」です。

 

安心・安全な車という意味では、やはり日本車が人気のマーケットでもあり、EVにおいてはテスラが先にマーケットを先導してきました。中国人の中にも、「メイド・イン・チャイナの車なんて信用ならん」という人は、少なからずいます。

 

NIOが挑む最初の壁は、ここにあります。これはNIOのみならず、XpengもLi Autoも一緒。そういう意味では、CCTVが「台頭する国産ブランド」という特集でNIOをピックアップしたことは大きいです。

 

中国人が自国ブランドのNIOを愛し、NIOのEVを所有したい憧れを持ち、実際に乗ってみてその素晴らしさを体感する。体感した肌感覚は、絶対にウソをつくことが出来ません。私は、これでいいと思うのです。それに合わせて販売台数が上がっていくという市場の健全さ。さらにそれを折り込んで先読みしてNIOが生産キャパシティを上げていく。このブランド愛とNIOの企業戦略が両輪となって、初めて株価が本物になっていくわけですね。

 

その潮流を作る世代が、NIOの場合はある程度若い、最先端が好きな世代だということは誰もが知るところでしょう。発信力がある人達です。そこに向けてNIOはきちんとブランディング戦略を持っており、NIO LIFEやBLUE SKY LABはその一部です。

 

www.nio.com

 

NIOが仕掛けるグローバル戦略

ここからは余談です。

 

NIOは中国国内のみならず、世界展開に向けても、強かにそのブランディングを強化しています。クルマ作りの「本場」であるドイツでは、中国製EVに対する風向きが完全に変わってきました。

 

ドイツ人回答者の半数近くが中国製EV購入にオープンな姿勢を示し、19%は中国メーカーのEVを購入したいと答えた。若年・中年層の購買意欲がより高かった。

(Source:
中国メーカー、欧州でEV展開に注力 好調の兆し | 36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

 

これには、ヨーロッパでも受け入れられるクオリティにしよう!という中国企業の努力が見えます。

 

上海汽車集団傘下の名爵(MG)とNIOはいずれもユーロNCAPの安全性試験で高評価の5つ星を獲得した。NIOはこれまで現地になかったバッテリー交換技術を持ち込むと同時に、オンラインによるハードウエアアップグレード機能を通じ、新しいスマート・デジタル体験を欧州のユーザーに届けている。(Source:同上)

 

ユーロNCAPのRatingを実際に見てみましょう。評価項目アイコンは左から乗員保護、チャイルドプロテクション、歩行者保護、安全支援機能です。まずは先行しているテスラ。

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次にトヨタ。

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記事でも取り上げられているMG。

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最後に、NIO。

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評価は各項目%表示ですが、無理やり総合点数にしてみると…

 

TESLA - Model X:総合点数345

TESLA - Model 3:総合点数350

Toyota - Yaris Cross:総合点数329

Toyota - Mirai:総合点数335

MG - Marvel R:総合点数290

NIO - ES8:総合点数330

 

MGもNIOも、TESLAやTOYOTAに肉薄していますよね。NIO ES8はYaris Crossと総合評価が同レベルです。Yaris Crossは、昨年2021年のBest in Cars・Small MPV部門でトップになった車体です。ドイツ人が中国製EVに触手を伸ばすのも理解出来ます。ちなみに、XpengとLi AutoはNCAPの安全性試験を受けていません。

 

そもそも中国は、「自動車製造後進国」と呼ばれてきました。2006年にユーロNCAPのテストを受けた華晨汽車製中華・BS6は1つ星という評価を受け、事実上、欧州市場から閉め出されたこともあります。そんな中で、NIOがこれだけ高い評価を受けていることは(年々評価が厳しくなっているにも関わらず)、ドイツ人の中国製EVに対する見方が変わってきた要因の1つでしょう。

 

xtech.nikkei.com

 

ミーハーも良いですが、このあたりをきちんと理解して企業としてのNIOを知っていくと、さらに魅力的な部分が見えてきます。

 

一喜一憂せず、本格的な株価の上昇までは少し時間がかかりますので、「NIOってどんなことを目指しているんだろう」という部分を妄想しておくと良いでしょう。SNSでは、NIO株の上昇を煽る人がたくさんいますが(笑)、そこに意味はありません。というか、私も煽ってますがご勘弁ください。楽しんでいるだけです。

 

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