ロシアやウクライナに関して、様々な情報が飛び交っていて何が真実なのか見えにくくなっています。情報戦争を仕掛けてきたのは米国なので、ロシアに有利な情報はプロパガンダや陰謀論として消されがちです。また、FacebookやTwitterが米国政府の意向でロシア側の情報を遮断し始めているため、懸念していた「正確な情報が伝わらない事態」が起きています。
Youtubeも追随しました。
Googleにも圧力がかかっています。
こんな時は、基本に立ち返って公文書の内容を読んで「点」ではなく「線」で理解していくのがベター。以前、新疆ウイグル自治区についてもCIA文書から読み解きましたが、今回もCIA文書を辿ってみましょう。きっと見えてくるものがあります。
今日は、1950年3月27日に作成されたCIA文書を読み込んで行こうと思います。ウクライナにおける抵抗勢力を、70年以上前からCIAが支援してきたことが明記されているので、興味を持って読めると思います。
CIAの公開文書(PDF):
https://www.cia.gov/readingroom/docs/AERODYNAMIC%20%20%20VOL.%201_0004.pdf
下記は、原文より一部抜粋して翻訳しました。
✅目的:OPC(CIAの前身: Office of Political Coordination) がソビエト政権に対する抵抗活動や心理戦のために利用できる潜在的な活動拠点をウクライナで開発すること。✅背景となる事実:ウクライナ解放最高評議会(UHVR)は1944年7月に結成され、ウクライナの最高政治抵抗勢力を代表する組織である。その海外での表象は、ZPUHVR(ウクライナ最高解放評議会の海外代表)を通じて行われている。ZPUHVRは現在、ソビエト政権との闘いにおいて西側の支援を確保しようとしている。 現在、本部はドイツのミュンヘンにあり、アメリカでの代表はニコライ・レベド氏で、彼はZPUHVRの外務大臣という非公式な肩書きをもっている。✅オペレーション管理:管理および運営上の指示のための本部はワシントンに置かれ、プロジェクトで概説されたすべての活動の調整がここで集中的に行われることになる。✅オペレーションエリア:ドイツが主な活動地域となります。実行可能な限り、作戦を衛星諸国に拡大し、最終的にウクライナに作戦基地を設置するかもしれない。最終的には、ウクライナに隣接するポーランド、チェコスロバキア、ルーマニアを標的にする心理戦活動に、ウクライナのレジスタンスネットワークを利用することが考えられる。✅トレーニング:ウクライナへの潜入を目的とした諜報員の訓練は、OSOとOPCが、必要とされる米国機関と協力して実施する。✅Disaster Plan:ウクライナの組織に対するアメリカ側の関与に関するすべての機密資料およびその他の証拠を破壊または避難させるための手配をすること。✅現状CIAからの適切な支援と指導があれば、ZPUHVRはウクライナで秘密のレジスタンスと心理戦の活動を拡大することができると想定される。
興味深いことばかりですが、私が注目したのは2点です。
1点目は、オペレーション本部がワシントンに置かれていることです。このことから、米国政府がウクライナにおける体制変更(政権転覆)にCIAを通じて関与してきたことが分かります。また、実行部隊の本部がミュンヘンにあることも注目しました。
2点目は、Disaster Planです。もし戦争等の非常事態が起きた時には、米国が関与したという証拠を含め機密文書を破壊または避難させることが出来ることです。CIAがトレーニングしてウクライナに送り込んできた民兵が(アゾフ含め)、恐らくそれを担っていると思います。現在ウクライナ国内でロシア軍以外の勢力がウクライナの施設を空爆しているのは、このDisaster Planが行きていると思わせます。
原文はマスクされている部分もありますし、ペニシリンやビタミン剤などわざわざCIAが文書にしなくても良さそうなワードも見えます。これらは隠語かもしれません。
今回のCIA文書は、直接的な表現を少し避けて書かれたように感じます。というのも、3年後の1953年に作成されたCIA文書のほうは、かなり直接的な表現で記載されているからです。
これはまたの機会に。
ちなみに、CIAの意向を受け継いで暗躍してきたのがNED(全米民主主義基金)です。NEDについてはこちらの記事をご覧ください。