この1週間は、米国による対ロシア工作をCIA公開文書から読み解いてきました。本当に多くの文書にアクセスしてきましたが(まだ全て読み切ってません)、米国(CIA)が秘密裏に進めてきたウクライナでの対ロシア工作が本当に根深く、どこから書いて行けば良いか分からなくなっているほどです。
闇が深いです。
本題に入る前に改めて書いておきたいと思いますが、ウクライナ問題に関してロシアを擁護するつもりはありません。戦争は両成敗です。立場が異なれば、それぞれの正義があるので、善悪二元論で物事を判断するのは好きではありません。
とは言え、今の日本における報道があまりにも米国寄り・ウクライナ寄りになっているので、米国が仕掛けてきたことの核心に迫ろうと思い立ったのがきっかけです。この記事の立場としては、今まで通りロシア側に立つということはせず、つまりどちらにも加担しない積極的不関与を正としています。よって、「ウクライナが可愛そう」「米国は世界の警察だ」と強く盲信している方は、読まないほうが良いかもしれません。
さて、本題です。
前回の記事は下記です。
今回は1953年2月に作成されたCIA文書(Disclosure済み)を取り上げたいと思います。陰謀論や根拠に乏しい情報ではなく、CIAがウクライナの地で何をしてきたのか、そのほんの一端を知るきかっけになればと思います。
CIAの公開文書(原文PDF)
https://www.cia.gov/
readingroom/docs/AERODYNAMIC% 20%20%20VOL.%201_0113.pdf
今回の文書は、AERODYNAMICという作戦名がついています。「AERODYNAMICの目的は、反ソビエトのウクライナ抵抗運動を冷戦および戦争(Hot War:実際の戦争)の目的のために利用・拡大することである」と明記されています。
ここからも分かる通り、米国はCIAを通じてウクライナでの反ソビエト(現ロシア)工作を行ってきました。プーチン大統領がなぜここまでウクライナの軍事施設を攻撃するのかに関して、ここまで迫って「線」で伝えている日本語メディアは皆無だと思います。
日本の場合は戦後に米国の奴隷国家になってしまったため、第二次世界大戦後は体制的に全く異なる国になったという見方をしています。一方ロシアに関しては、国境が変わったとは言え、このように数十年間も続いている歴史があります。
今回のCIA文書はボリュームが非常に多いため、要点だけ抜粋して記載しておきたいと思います。
<要点>
✓CIAはAERODYNAMICのための資金援助を行う
✓破壊工作、ゲリラ戦などの秘密能力を開発する
✓ウクライナの抵抗運動と独立諜報員チームが、CIAとの適切なやり取りを維持し、その中には航空支援・陸上支援、輸送、W/T(送金)、秘密文書等を含む
✓ウクライナに作戦支援施設を設立し、ソ連地域に向けたエージェント活動を行う
✓戦時用の回避・逃走ネットワークを開発する
✓ソビエト政権に対する政治的・心理的戦争に使用される適切な技術や方法について、人員訓練を行う
✓反ソビエト宣伝のための機関紙として、ウクライナ語新聞(Suchasna Ukraina)の支援を継続すること
✓ソビエト研究会を設立し、得られた情報は米国の諜報活動と心理戦争の任務遂行のため、またウクライナの地下組織を支援するために利用する
✓幹部学校は、米国の目標にしたがってウクライナで活動するための諜報員の発掘として機能する
✓幹部学校では戦時用の幹部養成を行い、卒業生が戦争時に直接利用可能な予備軍を構成することが期待される
文書から読み取れることは、米国はCIAを通じて「ウクライナで対露戦争が起きる」ことを想定して動いてきたということです。さらに深読みするのであれば、「戦争を引き起こすことを前提に」動いてきたことが伝わってきます。それほどに、確信的な文書です。
前回読み解いた記事では、かなり曖昧な言い方で内容をぼかしていたことについても、今回の文書では明言されています。このあたりの雰囲気は、CIA文書をいくつか読んでいくと感じ取れます。
さらに、ロシア側が仕掛ける前にCIA側が仕掛けていたということもはっきり分かる文書です。米国(CIA)がいつから対露工作を行ってきたかが、歴史を「線」で見るポイントだと思っているのですが、少なくともこの文書が存在する1953年以降であることは確実です。実態としてはもっと古いのかもしれませんが。
さらに、ドイツも深く絡んできたことが明らかになっています。ここから、ウクライナにおけるネオ・ナチの活動が広がっていくわけです。大戦後の米国とドイツは対露工作についてはズブズブで、ネオ・ナチを使って他国の政権転覆を主導してきたこともなんとなく見えてきました。
米国ニュージャージーには、ウクライナ・ナチスの記念墓地が存在しています。
このCIAのウクライナでの工作活動を引き継いだのが、1983年に設立されたNED(全米民主主義基金)です。
この1953年以降の動きについては、下記のサイトにも記載がありましたので記載しておきます。
繰り返しになりますが、米国が対露工作をしてきたことは明白。ネオ・ナチを育成し、ロシア系住民に対する迫害をしているのも、70年以上続いてきたこの工作の結果であることをほとんどの日本人は知りません。
米国国務省は、白々しくFact Checkをしていますが…一体どんな神経を持ち合わせているとこんな所業が出来るのでしょうか。自国の工作を棚上げして…サイコパスです。
米国の企みは、公文書のDisclosureという形で白日の下に晒されます。調べれば誰でも分かる情報です。それを無視して「無かった」ことにした挙げ句、「ロシアだけが悪い」という構図はいかがなものでしょうか。
プーチンが、この70年における米国の工作に対して堪忍袋の緒が切れたとしたら、理解出来なくはないです(賛成はしてません)。彼が生まれたのが1952年ですから、その頃から米国はウクライナにおいて対露工作を行ってきたわけです。マイダン革命によって米国の傀儡国家となったウクライナは、ミンスク合意と停戦協定を無視し、70年の時を経てプーチンの決断を導き出したということです。
ウクライナ国民も、このような動きを知らないでしょう。ずっと洗脳されたきたわけですから。最終的に犠牲になっているウクライナ人とロシア人の心情はいかほどでしょう…
今回は長くなりましたので終わりにしますが、はっきり書いておきたいことは、1953年のこの工作がベースとなり現代に至るまでずっと続いてきたということです。
やはり歴史は「線」で見なければなりませんね。ロシア国民も悪くないですし、ウクライナ国民も悪くない。最も邪悪なのは、工作に加えNATOを作った米国です。黒過ぎます。そして踊らされたゼレンスキー。国土を焦土化させた責任があります。
最後に、坪井直さんの言葉を。