ウクライナから国外へ避難する難民が300万人を超えたというNewsを見ました。評論家の田中宇さんも仰ってましたが、どうもこの数が大きく歪曲されてカウントされているように思えます。
そこで、最も多い避難先とされているポーランドを含め、ウクライナの周辺国の民泊利用状況を調べてみることにしました。
ポーランドには190万人を超える難民が流れ込んでいることになり、ポーランド全体(3800万人)の5%、首都ワルシャワの人口170万人を超える流入は、広大な難民キャンプを作らないと収容出来ません。現状、ポーランドでそのような巨大な難民キャンプが作られている様子も事実も報道されていませんので、ほとんどの人が民泊等の宿泊施設を活用しているに違いないと考えました。
今回の記事の調査前提として、下記を記載しておきます。
✅民泊の使用状況をOccupancy Rate(使用率)で判断
✅避難当事者を批判するものではない
✅民泊以外の宿泊施設の使用率は含めない
ではまず、ポーランドから。国境近くのトマショフのデータからどうぞ。
トマショフ(ポーランド国境近く)
ワルシャワ(ポーランド首都)
ブラチスラヴァ(スロバキア首都)
ブカレスト(ルーマニア首都)
ブダベスト(ハンガリー首都)
使用率をまとめてみます。
<2022年2月・民泊使用率>
✅トマショフ(ポーランド国境)…21%
✅ワルシャワ(ポーランド首都)…45%
✅ブラチスラヴァ(スロバキア首都)…36%
✅ブカレスト(ルーマニア首都)…27%
✅ブダベスト(ハンガリー首都)…55%
首都でも国境でも、そもそも母数が少ないのにさらに稼働率が低すぎます。この状況から分かることは、避難民の多くは民泊を利用していない、ということになります。難民キャンプは前述の通り、規模が小さすぎます。
エアビーは既に宿を無料開放するというプレスリリースを発表しているので、3月の稼働状況も見ているのですが…現時点では、避難民にとって「他人に迷惑をかけずに無料で宿泊出来るエアビーの宿に泊まらない」という奇妙な状況が見て取れます。
この状況下ですと、なんとも判断が難しいですね。日本で報道されているような「国民がこぞって国外脱出」という状況は、少し言い過ぎのような気がします。ウクライナの人口は約4,400万人ですから、現時点で10%弱の人口が国外に脱出していることになりますが…果たしてそうなのでしょうか。
ウクライナがロシア系住民を迫害してきたドネツク・ルガンスクからの避難民のほうが多いかもしれません。そうなると、「ウクライナからの避難民はロシアからの攻撃を恐れて国外に逃げている」という報道が一方的であって、「ドネツク・ルガンスクからの避難民はウクライナからの攻撃を恐れて国外に逃げている」状況が報道されていないことになります。
歪曲報道、偏向報道です。
前述の田中宇さんは、「ウクライナの首都キエフからポーランド国境近くのリヴィウま
では毎日20-30本の列車がある。これらのすべてに難民が満員に乗って逃げているとして、1日の総数は2-3万人だ。1か月で170万人になるには少なすぎる」と仰ってました。
このような状況下でさらに奇妙なのは、各地の稼働率が全く上がっていないのに、Airbnbが滞在先提供をことさら煽ってくることです。
滞在先が足りないのであれば分かるのですが、現状は既存の民泊施設をフル稼働させることにフォーカスすれば良いと思うのです。米国のSNS関連企業を含め、政治的・ビジネス的な臭いがしてきます。
このようなアプローチは、日本のメディアはやりません。欧米メディアの報道を鵜呑みにせずに、様々な角度から検証をすることは重要です。時間もリソースも無いのでしょう。
最後に改めて記載致しますが、この記事で何かを確定判断するのも危険です。情報の多面的な見方の1つのデータとしてお読み頂けると助かります。