ZUUMA|直感投資と戯言

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ロシア|MH17撃墜事件から「今」を見つめる

2014年、ウクライナで政権転覆(2月:マイダン革命)があった年に、もう1つの悲劇が起きていたのを皆さん覚えてますでしょうか。マレーシア航空の旅客機MH-17が何者かによって撃墜され、墜落した事件(7月17日)です。

 

ドネツク上空で撃墜され、298人全員が亡くなった痛ましい事件です。

 

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事件調査の経過

正直なことを書きますが、当時、個人的にも様々な情報を調べていて「ロシアがやったんだな…」と思っていました。ところが、8年が経過して今思うことは「欧米メディアの情報しか見てなかった」ということです。

 

現在の「ロシア=悪」という一方的な構図に違和感を感じる今なら、もっと違う角度で調べられるのでは…と思い、犠牲者の方々や遺族の方々には何の意味も無いのかもしれませんが、少しでも真実に近づけたら…という思いで調べてみました。

 

調査の前提として、多くの欧米メディアが主張したり日本の記事に翻訳されたりした通説を一旦疑いはするものの、犯人を断定するという作業はしません。この記事を読まれる方は「こういう説もあったのか」という理解をして頂くことで、現在の状況もバランス感覚を持って理解していけると思っています。

 

調査経緯に関する疑問

まず、事件後に行われた調査に疑問を感じました。MH17のブラックボックスが、マレーシアではなく英国に送られたこと。その解析に、1年も時間を要しました。

 

最初から「ロシア犯行説」で方向性が一致していたことも疑問です。解析が完全に終わってないにも関わらず、です。

 

これには理由があります。この事件のわずか数日前に「単なる下着屋」だったElliot Egginsなる人物が突如として反ロシアのブログをBellingcatのウェブサイトに投稿し始めたことです。このNGOの資金源はジョージ・ソロスのOpen Societyであり、現在のパートナー(支援者)としてはあのNED(全米民主主義基金)の名前が見えます。

 

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(Source:About - bellingcat

 

NEDが過去にどのようなことをしてきたのかは、過去記事にまとめましたのでご覧ください。

investmax.hatenablog.com

 

NED以外にもBellingcatを支援するのはAdessium(オランダ)、Alfred Landecker(ドイツ)、Zandstorm CV(オランダ)など、NATO側です。NATOの意向を汲んだプロパガンダメディアと言えると思います。それぞれのウェブサイトを見れば、構成がほぼ同じで、一様に民主主義や人権を標榜していますので分かりやすいのが特徴です。

 

また、2019年、2020年にはBellingcatが諜報機関から莫大な金額を受け取っていることがリークされています。

mronline.org

 

MH17墜落後、このBellingcatが「ロシアのBukによって撃墜された」というレポートを7月に掲載したのが始まりです。

www.rferl.org

 

Bellingcatは「インターネットの情報を分析」して分かったという。現地調査もへったくりもありません。ネットの情報が捏造可能であることは、今回の件で良く理解出来ると思います。

Bellingcat, which analyzes information available on the Internet, said on October 8 that the Buk antiaircraft system involved in the incident can be traced from the Russian city of Kursk in June 2014 to a field outside the Ukrainian town of Snizhne in Donetsk Oblast on the day of the flight MH17 disaster.

 

今起きているウクライナでのロシア侵攻に関しても、ウクライナ側が英国と組んでプロパガンダを作成していることがバレています。

www.mintpressnews.com

 

結果的に、Bellingcatの調査?が欧米メディアによって拡散され、「ロシア犯行説」が広がりました。

 

Bellingcatは指名された調査会社でもないにも関わらず、最初からロシア犯行説を唱え、その論拠を正当化するために異常な数のレポートを配信し続けています。こちらのリンクを見れば、その異常さが分かると思います。恐らくですが、「ロシア犯行説」を広めるためのプロパガンダ媒体になったと考えています。

 

ロシア以外の犯行説

Bellingcatのレポートの正誤はおいといて、ロシア以外の犯行説は無かったのでしょうか。

 

調べていると、元ウクライナ保安庁・中佐のVasily Prozorovが内部告発的に独自調査を積み重ねて発表していたものがありました。それを報じたインドメディアの記事から引用します。

 

A Ukranian whistleblower Former Lieutenant Colonel Vasily Prozorov of the Ukrainian Security Services has revealed with evidence from classified documents he attained through his own high-ranking position that the Malaysian Airlines Flight 17 or MH-17 tragedy was orchestrated by British Secret Service with Ukrainian Security Service using the 156 Anti-Aircraft Regiment.

Source:Was Malaysian Airlines Flight 17 Brought Down By British Secret Service - GreatGameIndia

 

全文は長くなるので割愛しますが、Vasily Prozorov説の要点は下記です。

 

<ウクライナ犯行説の要点>

 

✅ウクライナ犯行を裏付けるミサイルのシリアルID:8-8-6-8-7-2-0
✅当該ミサイルは、ソビエト時代にウクライナ・リヴィウに送られたものであるという機密情報をロシア国防省が公開
✅当該ミサイルは、ウクライナ軍の156対空連帯がドンバスで運用
✅ウクライナ保安庁の単独行動ではなく、英国やオーストラリアと共同で実行
✅ウクライナのヴァレリー・コンドラチュク少将とヴァシリー・ブルバ中佐が、MH-17の悲劇の数週間前、このエリアで2014年6月22日に2人の英国のシークレットサービスエージェントと一緒にいたことを明らかにした

 

元ウクライナ保安庁でどっぷり働いていた人間というところと、情報ソースが機密文書に基づいているというところがこの説の信憑性を高めているところです。但し、残念がらこの説が大きく取り上げられることもなく、製作されたドキュメンタリー動画もYouTubeから削除されてしまっているため、今となっては全く影響力がありません。

 

所感

誰がどのように計画したのかは闇の中です。この件からも分かることは、ロシアとウクライナの対立は今に始まったことではないということです。少なくとも2014年以降、ドンバスにおいてウクライナ軍(アゾフ)がロシア系住民を迫害・殺戮してきたこと、そのような地域で悲劇が起きてしまったこと、関係のない一般人が巻き込まれて命を落としたことは明確な事実です。

 

また、欧米のメディアは全く公平公正ではなく、「ロシア=悪」という構図を継続してプロパガンダしてきたことも忘れてはいけません。その裏で、米国を含めNATO諸国はウクライナに兵器を提供してきたわけです。NATOに加盟する前から、ウクライナを武装地域化してきた責任は重いと思います。

 

そんな中で、私は欧米メディアとその傘下にいる日本メディアの報道は全く信じていません。どこかの国の政府の意向を汲んだメディアではなく、語っているのが撮影俳優ではなく、現地入りして現地住民の声を拾い続けている人を信じています。

 

Patrick Lancasterはその1人です。彼が撮影してきた動画を見ていけば分かりますが、口を揃えて「ウクライナが攻撃している」と言う人で溢れています。英語が分かる方は、ぜひ彼の取材動画をいくつかご覧ください。目が覚めると思います。

www.youtube.com

 

マイダン革命による政権転覆後、ウクライナはNATO加盟目標を憲法化しました。但しそれは表面的なものであって、実際はウクライナはNATO加盟国かそれ以上の軍事的連携を米国と継続してきました。ロシアだけを罰すれば良いという単純な善悪二元論ではなく、歴史は線で見なければ何も分かりませんから、欧米に対する処罰もあって然るべきです。

 

また、日本がロシア大使館のスタッフを強制的に国外追放するという動きも、蛮行でしかありません。日本は曖昧でグレーな対応で良いのです。日本政府は米国政府の言いなり、奴隷政権ですから、のらりくらりと制裁のように見えてほとんど意味のない制裁を繰り返していれば良かったのです。日本はこれで、ロシアによる報復制裁を受けても何も言い返せない(懸念を表明するだけ)という状況に陥りました。どのような状況にあろうとも、対話が可能なリソースを排除してはだめなのです。どれほど小さな可能性であったとしても、自らそれをゼロにしてしまうのは外交としては蛮行です。

 

ブチャの民間人殺害に関しても、日本は調査すらしませんでした。ウクライナ当局は、中立な第三者組織の現地調査を認めていません。遺体などの状況証拠は、全てウクライナ側によって片付けられて証拠隠滅されてます。つまり、虐殺の真犯人を公式に確定することが出来ません。遺体が誰だかも分かりません。ウクライナ当局がブチャの虐殺遺体の動画を「ロシアの犯行だ」と決めつけて発表し始めた4月4日、ロシアは国連安保理でブチャの事態に関する話し合いを緊急に持つべきだと繰り返し提案しましたが、安保理の議長をつとめる英国が却下しました。なぜ英国がそのような決定を下したのかは、MH17撃墜調査の経緯からも分かると思います。英国はロシア敵視なのです。

 

ここでも1つ考察をしてみます。

 

ロシアは3月30日に軍隊をブチャから引き上げています。これはロシアもウクライナも認めている事実です。ロシア軍撤退の翌日、ブチャのペドルク市長は戦闘で破壊され瓦礫が散らかっているブチャの街路をきれいにしていくと発表しました。ペドルク市長はそれから何日かたってから「露軍が、撤退する前に市民を虐殺していった」と突然言い出したのです。3月31日の時点では、市民が殺されたとか、ブチャの街路に市民の遺体が転がっているとは全く言ってません。気づかないのはおかしなことですが、これにも理由があります。3月に緊急国連安保理が開催されてしまうと、議長国がUAEなのです。4月の議長国は英国です。もうお分かりでしょう。

 

UAEはロシアに対する人権理事資格停止投票を棄権しています。

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欧米は国連を利用してロシアには何もさせません。

news.yahoo.co.jp

 

「国連が第三者組織を作ってブチャの虐殺現場を現地調査すべき」というロシアの提案は却下され続けていますが、ロシアが言っていることは間違ってるでしょうか?本当にロシアがやったのであれば、ロシアは「調査すべき」と言うでしょうか?ロシア犯行を確定し、全世界にロシアの戦争犯罪を認めさせるためにも調査すべきだと思いますが、なぜ調査しないのでしょうか。穿った見方かもしれませんが、捏造がバレるから調査させないのではないでしょうか?

 

このような「ロシアの姿勢」「欧米によるロシア無視」を正確に報じているメディアは日本人が普段眼にしないメディアです。https://tass.com/politics/1432769

 

国連総会は、「一方的なロシア犯行説」をもとに、3分の2以上の諸国の賛成によって、ロシアを人権理事会から除名する決議を下しました。確固たる証拠もないまま、ウクライナの言うことだけを論拠としてロシアを犯人扱いするのは、国際法違反です。国連は狂ってます。また、それを信じている日本人含め多くの人は情弱です(厳しい言葉ですみません)。「大量破壊兵器が存在する確固たる証拠がある」として戦争開始を決めた時と全く同じです。大量破壊兵器はその後全く発見されず、米国の嘘だということが判明してますが、今回も同じ構図でロシア除名が決定されたことに違和感すら抱かない人も多いですよね。

 

日本は、棄権するだけで良かったと思います。はっきりと、第三者による調査結果を待って結論を出す、ということで良かった。そうすれば、日本の国際的地位はバランスの取れた立ち位置になっていたでしょう。エネルギー問題もインフレも回避出来たかもしれません。ちなみにブラジルは投票に先立ち「調査委が独立した調査を完了することが必要だ」と棄権の理由を説明していました。私はブラジルの意見が現時点では正しいと思います。MH17撃墜事件と同様、独立した調査委が設置されることはないと見ています。

 

幸いなことに、ロシアの液化天然ガス(LNG)は今のところルーブル決済を要求されていません。これはロシア側の忖度だと思います。日本がこれ以上、対露制裁を続けてロシアの態度を硬化させてしまうと、LNGのルーブル決済もプーチンによる大統領令で可決してしまう可能性があります。そうなったとしても、きっと日本人は目を覚まさないのでしょう。きっと、お金持ちがたくさんいるのでしょうね。

 

ロシアは、Goldも資源も大量に保有しています。インフレになったとしても耐性が高いのです。日本はどうでしょうか。インフレになった時の耐性が弱過ぎます。通貨安(1ドル130円を超えます)にインフレというダブルパンチで、苦しむのは国民です。さらに金利上昇に繋がり、ローン金利が上がり、苦しむのは誰なのでしょう?

 

インフレについては、過去に書いた通りになりつつあります。日本は制裁に加担すべきではありませんでした。

米国が世界の覇権であり続けることは無理で、国内のインフレ対策を含めた統治を進めないと世界経済に与えるネガティブ・インパクトが相当膨らみます。今後の選挙次第で、混迷するのは米国経済かと思います。日本は制裁という形でそれに加担することになります。

Source:ウクライナの軍拡を推し進めてきたNATOと米国、求められる手打ち - ZUUMA|直感投資と戯言

 

この欧米を中心とした制裁の結果、食糧危機が訪れることをロシア大統領府が丁寧に解説してくれています。私はこの件に関しては、その通りだと思っています。

kremlin.ru

 

所感が長くなってしまいましたが、事態を解決したいのであれば英米のようにウクライナに兵器を送り続けることは愚策です。現状のように、ロシアを無視することは根本の問題を曖昧にするだけです。

 

日本は欧米に追随せず、ロシアの言い分も聞きましょう、というバランス外交を行うだけで、北方領土問題進展の可能性を見出だせたはずです。また、今後課されるはずのロシアによる対日制裁を免れたはずです。それをせず、米国の言いなりになり制裁を決定してしまったため、引くに引けない状況に自ら陥りました。こうなると、すぐには撤回出来ず両国間の関係悪化は継続します。

 

愚民政策により自ら考えることを半ば放棄させられてきた日本人は、感情的にロシアや中国を敵視するだけになってしまい、日本国民の本当の利益が何であるのかを思考することが出来ない状況です。もう一度思い出しましょう。日本は米国の制裁によって苦境に陥り戦争を開始した国であって、ロシアに侵攻したという歴史がありますす。それを棚に上げて新たな制裁の歴史を作ることは、やってはいけないことです。米軍基地が日本に131か所あることを正当化し、米国は敵国を作り続けないと日本から防衛費を巻き上げることが出来ません。防衛費は私達の血税です。

 

防衛費は米国のビジネスです。各国にGDP比2%を求めるという愚かな目標数値があります。

www.nikkei.com

 

繰り返しになりますが、ロシアを正当化するのではなく、感情論に陥ることなく、日本人や日本政府がどこを目指せばよいかを真剣に考える機会であるべきです。次のターゲットは台湾ですから。台湾に関しても、間違った歴史認識を持った日本人が90%以上だと思っています。台湾にも事情があるのは理解しますが、国際的には「1つの中国」という認識が大前提です。米国もそれは認めています。認めつつ、台湾に兵器を提供し続けています。これで中国が怒る理由が分からなければ、欧米メディアによって偏った入れ知恵をされていると思って良いでしょう。私がかつてそうあったように。

 

選挙に参加しない理由。

investmax.hatenablog.com

 

国際時事について読むべき田中宇氏のコラム。

tanakanews.com

まとめ。

investmax.hatenablog.com

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