ZUUMA|直感投資と戯言

直感投資家。チャートも見ますが時事ネタ等から直感で動くスタイルです。記事は話半分以下でお読みください。キングダムの考察はnoteで更新中。https://note.com/kazugaga

コラム|大英帝国の光と影(1)

 

英国のアイデンティティの1つだった、エリ女が亡くなりました。

 

私が好きだった英国

実は私、英国のカルチャーが大好きです。

 

特に90年代にムーヴメントを巻き起こしたBrit Popにドハマリしていた時期がありまして、映画「さらば青春の光」の影響でVespaにも乗っていました。もちろんファッションはモッズです。blurの「Clover Over Dover」のメロディは英国らしい美しさがありますし、Oasisの「Live Forever」はいつ聴いても新鮮で、Pulpの「DISCO 2000」はイエモンの吉井和哉にも多大なる影響を与えましたし、Suedeの「Trash」は日本人では到底表現できないグルーヴを醸し出していました。

 

本当に素敵なムーヴメントだったなぁと。オーダーメイドのジャケットを着て、ドクターマーチンの編み上げブーツを履き、ロンドンのタワーブリッジを歩いて渡った時の感動も忘れません。

 

仕事でも英国ファンドとの打ち合わせでロンドンを訪れています。2015年のことです。一番右、ロロピアーナのスーツにエトロのネクタイをしているのが私です。

 

話を戻します。大好きなBrit Popの著名アーティストを含め、物凄いメンバーで「Tibetan Freedom」という企画者のCDが発売されたときも、真っ先に買いました。当然、名曲揃いです。

 

ただ、それは私がまだ二十歳くらいの時のこと。今となっては、「Tibetan Freedom」という思想さえ、民主主義vs共産主義というイデオロギーの善悪二元論しか感じませんし、チベットのダライ・ラマを飼いならしていたのが米国政府であり(給料も活動費も支払っていた)、米国の政権転覆工作に気づいた中国が別のダライ・ラマを擁立したのも知っています。

 

大人になったな…と思います。

 

そこで、エリ女の輝かしい功績は日本のメディアが嫌というほど報じるでしょうから、彼女が統治した英国が何をしてきたのか、今回は戦争犯罪についてまとめようと思います。

 

マラヤ|虐殺、人権侵害

イギリスのハロルド・ブリッグス将軍が考案したブリッグス計画では、最終的に50万人(マラヤの人口の約10%)が土地を追われ、数万軒の家が破壊され、「ニュー・ビレッジ」と呼ばれる450の警備された要塞収容所に収容された。また、抑留者の心をつかむために、村の中に教育や医療サービス、水道や電気を供給することも行われた。このような行為は、ジュネーブ条約や国際慣習法では禁止されており、「軍事行動によって絶対に必要とされる場合を除き、財産の破壊は行ってはならない」とされている。イギリスによる植民地支配の現れ。

 

さらに1948年のマラヤ非常事態の最中、バタン・カリで罪のない24人の村民がイギリス兵によって首を切られた。

 

 

マレー|首切り国家の正体

戦時中、イギリス軍と英連邦軍はボルネオ島からイバン (ダヤク) のヘッドハンターを雇い、マレー民族解放軍(MNLA)のメンバーと疑われる者の首を次々に撥ねた。

 

イバンのヘッドハンターはまた、戦利品として保管するために死体の頭皮を取ることを英国の軍事指導者から許可されていた。しかし実際には、イギリス軍はマレー人の斬首された首を戦利品として取り上げることにした。

 

イギリス外務省は首切りの慣習が存在することを否定。その後、イバン人のヘッドハンティングを正当化しマスコミで被害を隠蔽しようとしたが、戦利品の頭部の 1 つは、後にイギリスの連隊博物館に展示されていたことが判明。

 

1952年4 月、イギリスの共産主義新聞デイリー・ワーカー(現在のモーニングスター)は、マラヤのイギリス軍基地で斬首された人間の頭で公然とポーズをとっているイギリス海兵隊の写真を掲載。当初、海軍本部と植民地省に所属する英国政府のスポークスパーソンは、写真が偽物であると主張さえした。しかし、後に植民地長官のオリバー・リトルトンは、議会で写真が本物であることを認めた。首切りの習慣を禁止したのは、後のウィンストン チャーチル。イギリスによる首切り習慣を報じたのは、なんとデイリー・ワーカー紙のみであり、衝撃的な証拠写真にも関わらずイギリスの主要報道機関は事実上無視し続けた。

 

 

現在でも、政府の意向にそぐわない情報はメディアに無視され、都合の良い情報だけが報じられる。日本もイギリスも一緒なのです。

 

ケニア|マウマウ団の乱における虐殺・拷問

マウマウ団の乱は、イギリスの植民地だったケニアで1952年から1960年に起こった民族主義的独立運動。ケニア・最大民族のキクユ族がケニア土地自由軍を結成。

 

イギリス本国から派遣された正規軍5万人、戦車、爆撃機などを投入しナイロビで2万7千人、農村で107万人の反乱支持者を逮捕。マウマウ側の死者数は、11503人だった。イギリス軍はさらに1,090人の反乱容疑者を絞首刑に処した。マウマウ団の乱を機に、KAUの中心メンバーによってケニア・アフリカ民族同盟(KANU)が結成され、ケニアは1963年に独立を果した。 

 

紛争中にはイギリス軍による拷問と残虐行為が行われた。タバコや火、電気ショック、破壊した瓶、銃身、ナイフ、ヘビ、害獣、熱い卵が、男性の直腸と女性の膣に押し込まれた。イギリス軍はマウマウの容疑者をむち打ち、撃ち、火傷を負わせ、手足を切断した。同じ時期、チュカでは非武装の一般人20人を虐殺した。

 

後に、英国政府は植民地政府が被拘禁者を拷問したことを認めているが、責任は否定しています。彼らのサイコパスさが良く分かる事実です。植民地からは人・モノ・金を思う存分搾取し、独立を求める運動に対しては軍隊を投入し、躊躇なく殺しました。

 

アフガニスタン、イラク|民間人拷問・虐殺

2019年11 月、英国政府と軍が、アフガニスタンとイラクでの戦争中の民間人と子供の殺害と拷問を隠蔽したとして告発された。流出した文書には、イギリス軍がこれらの地域で子供たちを殺害し、民間人を拷問したことを示唆する証拠が含まれていた。

 

トルコメディアが動画でも報じています。

www.youtube.com

 

イラク戦争中に拘留された何百人ものイラク人が、英国軍による虐待について語った証言によると、暴力的な殴打、睡眠と感覚の剥奪、ストレス拷問、食物と水の剥奪、性的および宗教的屈辱、性的虐待が行われていた。これらは日本政府が言う「国際社会」のメディアでは、一切報じられない。

 

虐待の生存者の中には、英国高等裁判所での訴訟の後に補償が与えられたものもあり、数百人のイラク人が国防省との法廷外和解に同意した。しかし今日まで、英国では虐待の責任を負う高官の刑事責任を調査する調査は行われていない。イラクで英国軍が犯した組織的な戦争犯罪について、英国政府は真の説明責任を果たす見込みがない。つまり英国は未だにこの責任を取っていない。

 

下記のリンクは、英国議会のウェブサイトに掲載されている「イラクにおける英国の戦争犯罪」です。ご丁寧に自国の犯罪を掲載しているわけですね。米国と一緒です。

 

参照:https://commonslibrary.parliament.uk/uk-war-crimes-in-iraq-the-icc-prosecutors-report/

 

中国|アヘン戦争

第一次アヘン戦争は、1839年から1842年にかけて中国とイギリスの間で行われた。第二次アヘン戦争は、1856年から1860年にかけて、弱体化した中国がイギリスとフランスと戦った戦争。中国はこの2つの戦争に敗れた。

 

この敗戦で中国は香港をイギリスの支配下に置くことを認め、条約港を開いて外国人と交易し、条約港で活動する外国人に特別な権利を与えなければならなかった。さらに、中国政府は、イギリスが中国の人々にアヘンを売りつけるのを黙って見ていなければならなかった。イギリスは、自由貿易の名の下に、中国政府と中国人への影響を顧みず、このようなことを行った。

 

ここから分かる通り、もともとはイギリスが中国を侵略した戦争です。中国はイギリスに攻め込んでいません。この侵略戦争の結果が、イギリスの香港統治です。なぜイギリスが香港の民主主義云々を語れる立場にあるのでしょう。「英国の侵略だった」という前提条件が、日本のメディアの全ての文脈から完全に抜け落ちています。そこがもう変態的に愚か。

 

当時、「植民地貿易野郎」イギリスが目をつけたのが、植民地であるインドで栽培したインド産アヘン。アヘンを売る代わりに膨大な銀を獲得していった。

 

中国政府は、アヘン中毒者が増えて社会問題になっていることからアヘン密輸を禁止した。しかしイギリスにとっては、イギリスの尊厳と貿易の概念に対する冒涜であった。イギリス商人、密輸業者、イギリス東インド会社は、『中国は自由貿易を実践し、領事や条約によって「正常な」国際関係を維持している「文明」国家とは無縁である』と主張した。

 

この文脈を、現在の英米の主張と重ねてみてください。自らの利益を獲得するためであれば、何でも「正義」にする。他国のルールなど関係ない。その結果引き起こされたアヘン戦争で、中国人は約20,000人が死に、国が退廃した。中国人にとっては(政府であれ民間人であれ)、国をめちゃくちゃにした戦争を引き起こしたイギリスが、人権侵害や少数民族弾圧等を語る資格などないと思っているのです。盗人がどんな理由を並べたてても盗人であることと同じです。

 

その他

イエメンでの紛争も英米が中心となって仕掛けています。

 

「戦争犯罪として処罰されるべきだ」と国連が非難しています。日本では絶対にニュースになりません。日本のボスである英米の所業は、日本にとって常に正義だからです。イエメンは何か悪いことをし続けている国なのでしょうか。

(Source:Yemen war: UK, US, and France complicit in war crimes, UN says

 

アフガニスタンでの英国の戦争犯罪を配信しているのもアルジャジーラですし、日本での情報は本当に偏り過ぎています。

 

大戦後でもこれだけの戦争犯罪を重ねてきた国が、他国の正義についてあれこれ語れる立場にないことは明白でしょう。なぜこのような国家が、米国然りですが、「世界のリーダー」と言えるのでしょうか。不思議でなりません。

 

その他の戦争犯罪については、下記サイトもご参照ください。

military-history.fandom.com

他国に内政干渉し、人民を殺し、植民地化した上で金を奪い、 蜜を吸い続ける。そんなアングロ・サクソンの王国を束ねてきたのが君主たるエリ女なのです。