ZUUMA|直感投資と戯言

直感投資家。チャートも見ますが時事ネタ等から直感で動くスタイルです。記事は話半分以下でお読みください。キングダムの考察はnoteで更新中。https://note.com/kazugaga

Mr.Children|『MISS YOU』全曲レビュー(後編)

 

今回はMr.Childrenのアルバム『MISS YOU』の全曲レビュー(後編)になります。レビュー(前編)は下記からどうぞ。

investmax.hatenablog.com

 

 

7.雨の日のパレード

最近のミスチルは前奏が短いものが増えてる気がするんですが、この曲も前奏は13秒です。短いのですが、曲の雰囲気を伝えてくれるところが素敵。多分、売れだした頃のミスチルだったら、前奏に雨音を入れていたかもしれません。そういうアレンジを入れる余地のない、削りに削った13秒です。

 

悲惨な別れも いがみ合って消えてった恋も
どこかのオッサンの青春のように 美談色に染まるさ

 

この歌詞の部分にある「美談色」というワード。きっと美談からイメージされるカラーって、人それぞれなんですが、それをこの一言で表現するところに哀愁を感じます。でも、暗くないというか。今が雨降りであっても、時が経てば虹がかかって、美談色だったりするよね、というメッセージ。きっと歳を重ねれば重ねるほど、じわじわ染みると思います。

 

8.Party is over

桜井さんって、コーヒーも好きだけど、バーボンソーダが好きなのかな?と思わせます。「Bank Band」で岡村靖幸さんの「カルアミルク」をカバーしたのを思い出させるんですよね。あの曲でもバーボンソーダが使われてるのですが、言い方に愛情が感じられます。カルアミルクも名曲ですよね。

 

アルバムの中で、この曲もすぐに好きになった曲です。

 

タイトルのParty is overって、曲の最初と最後に使われていて、サビで多用しているわけではないんですよね。1つの事実として「パーティは終わったんだ」ということは変わらないから、過去に拘ることをせず、今と未来を信じて歩こう、でも何処に向かえばいんだろう、というメッセージ。実はこれ、「Are you sleeping well without me?」からの続きのような気がしてます。だって、「僕の見えない場所で 僕の知らない誰かと」って、完全に「Without Me」じゃないですか(笑)。

 

9.We have no time

この曲、きっとスガシカオさんは好きですよね?大好きですよね?桜井さんも、スガシカオさんにインスパイアされたのかな?と思いました。それくらい、出だしからブルージーで、クセツヨです(笑)。一瞬、前奏のギター音でBeckの「LOSER」を思い起こさせました。

 

スキルとソウルが健在でも、日和っちゃう気持ちありますよね。そんな気持ちを否定もせず、肯定もせず、何も決めつけてない歌詞です。ただただ、「We have no time」という時間的な概念との葛藤がある。

 

まだまだいけんじゃない?とか思っちゃう

 

歳を重ねると、片足を常にブレーキに置いて、アクセル踏もうかどうしようか迷います。これ、あとに続くdeja-vuに通じる曲かもしれません。実は聴くほどに好きになっちゃった曲です!

 


10.ケモノミチ

この曲が一番解釈が難しいと思ったのですが、「別に解釈なんていらないよね」という境地?にたどり着いた曲です。

 

誰にSOSを送ろう

 

ものすごく孤独な叫びですよね。つらい状況で、SOSを送ろうにも、相手がいない。だから仕返ししてやりたいんだ。現代のストレスを思いっきり溜め込んだような歌詞で、人生は時にケモノミチだよねと思ったり。僕も日々、脳味噌振り回されております(笑)。

 

11.黄昏と積み木

この曲は、聴けば聴くほどにジワジワと心に沁みる名曲だと思います。「My Life」や「シンプル」から続く、なんでも無いような日常を歌った系譜。歌詞が切ないメロディに乗っていて、「普通っていいよな」と思います。

 

小さな願いを
一緒に積み上げよう
背伸びしなくても明日を
見渡せる高さまで
一つずつ 丁寧に

 

心にゆとりがあって、日常を振り返る余裕がないと、感じれない普通のことってありますよね。こんな優しい歌を歌える人って、なかなかいないと思います。ミスチル好きだなぁと改めて思わせた曲でもあります。

 

12.deja-vu

アルバムの中で一番ほっこりする曲。曲の構成もシンプルで、余計なアレンジやひねりを入れず、メッセージもシンプル。2:50という短さの中に、ぎゅっと切なさが詰まってます。

 

誰の中にもブレーキと
そしてアクセルがあるけど
僕らうまく操っていけるかな?

 

「人間は精神的ブレーキの犠牲者だ」という名言がありますが、歳を重ねるにつれて人生がワクワクしなくなるのは、きっと若い時以上にブレーキを踏んでしまってたり、踏まなきゃいけなかったり、さらに、ある程度この先にある道が予想できるような、そんな状況があったりします。自らが歩んできた道のりを思いながら聴くと泣けてきます。ほっこりなのに泣ける。

 


13.おはよう

「おはよう」って言えるのは、常に相手がいるってことですよね。それが家族だったり、ペットだったり、もしかしたら亡くなった人に対してかもしれない。


この歌は、男女がよりステディになる時に、「おはよう」と言える関係性を初々しく喜んでいる内容です。既に結婚してしまったご夫婦にとっては、もう既に「おはよう」が、もしかしたら普遍的になってしまって、悪い言葉かもしれませんが陳腐化してしまってるかもしれない。でも、こういう初々しい時があったよね、と思い出させてくれるのではないでしょうか。

 

面白いのは、この歌の主人公の、アクセル踏んだりブレーキ踏んだりしているところを描いている部分ではないでしょうか。毎日、それの繰り返しなのかもしれませんね。

 

(レビュー終わり)

 

タイアップ曲は一切ありませんし、アルバムのコア的な曲もありません。レビュー前編に書いた通り、ヴォーカルを前面に押し出したアルバム。だからこそ、歌詞がジワジワと響いてくるんですよね。で、気がついたらめちゃくちゃ好きになってたアルバムです。

 

噛めば噛むほど味わいが楽しめる、まるでスルメのような円熟味の作品だと断言できます。ぜひ、どっぷり浸かってみてください。