ZUUMA|直感投資と戯言

直感投資家。チャートも見ますが時事ネタ等から直感で動くスタイルです。記事は話半分以下でお読みください。キングダムの考察はnoteで更新中。https://note.com/kazugaga

NIO|誰も書かないサブスクのネガティブ要素

 

 

NIOのサブスクが黒字化するまでどれくらいかかるかを、シミュレーションしてみました。

 

下記は、シミュレーションの前提です。サブスク1台あたり、利益化するまでどれくらいかかるのでしょうか。

 

1.車体価格…便宜的に800万円とします。
2.利益…マージンを20%に設定します(もっと低いですが)。
3.製造コスト…便宜的に80%に設定します。
4.サブスク費用…月額17万円に設定します。
5.損益分岐点…1~4のコスト構造だと38か月かかります。

 

計算を極力シンプルにするために、上記の通りにシミュレーションしました。1人の契約者が契約を継続し続けて、38か月目で初めて黒字化します。つまり、37か月間はコスト回収出来ません。

 

最近のProfit Marginは13%だったので、実際にはコスト回収までもっと時間がかかります。

 

Source:NIO Gross Profit Margin (Quarterly)

 

よって、サブスクだけで考えるとEU事業は何年間も赤字です。契約を4年以上継続する母数が増えていくのが6~8年かかるとすれば、NIOは赤字垂れ流しを覚悟の上、サブスクでの事業スタートを決定したと言えます。

 

次に、中国の売上を加味し、年間の事業損益がどうなるかシミュレーションしてみました。これも極力シンプルに計算しています。

 

 

<中国事業>

①販売台数…2023年の中国での販売台数を23万台とします。
②販売単価…便宜的に800万円としています。
③利益…マージン20%に設定しています。
④製造コスト…便宜的に80%に設定しています。

 

<EU事業>

⑤契約数…年間新規契約を12,000台(月1,000台)に設定します。
⑥製造コスト…④と同様。
⑦サブスク収益…月額17万円に設定した収益です。
⑧損失…⑥と⑦の差額です。

 

中国とEUの損益を合わせると、3,840億円の利益になります。

 

このシミュレーションから、中国事業ありきのEUサブスク事業だということが分かります。EUだけで黒字化するにはやはり時間がかかります。それまでにサブスク以外の購入オプションを提供すれば状況は変わりますが。

 

(追記)この件に関して、William Liが『購入プランは検討しているし、さらにユーザーの声に耳を傾ける』というコメントを出しました。



f:id:kazumaxinvest:20221010083650j:image

(翻訳)

この2日間、ユーザーから「購入オプションが欲しい」という多くの声が寄せられました。 我々は、NIO車を購入したい多くのユーザーの熱意を過小評価していたことを認めざるを得ません。EUの4か国でサブスクリプションを開始することで、NIOチームは最初から1つのビジネスモデルに集中できます。これは、ユーザーエクスペリエンスに妥協することなく、新しい市場に参入する新しいチームにとって最も効率的なアプローチでもあります。
我々は買いオプションに関しては(もともと)オープンであり、さらに準備を進めています。今後も、EUの4か国のゼネラルマネージャーがオンラインおよびオフラインのコミュニケーションを展開し、NIOのサブスクリプションサービスをより詳細に紹介し、あらゆる面でのさらなるフィードバックに耳を傾けます。あなたの声は私たちにとって不可欠であるため、コミュニケーションにサインアップすることは大歓迎です。

 

 

前回の記事にも記載しましたが、EUでの売上を純粋な車体販売で考えていた場合、投資家としてはネガティブ要素になります。個人的に、これでNIOの株価は上昇しにくくなったと見ています。もし以前のような爆発的な株価の上昇を見込んでいる方は、諦めたほうが良いかもしれません。いずれ$20までは戻します、その上が重いです。

 

また、1つの可能性として、中国市場における中古車体を中国またはその他の国でサブスク化するかもしれません。その際は、バッテリー寿命に引っ張られることなく純粋に車体のクオリティでサブスク価格が最適化されると思います。

 

私はホールドし続けますし、ネガティブなことを訴えるために書いた記事ではなく、冷静にかつ公平にマーケットと付き合うには非常に重要な考えです。NIOはファンが増え続けているので、現在のSNS上では辛辣な声が聞こえにくくなっています。最近良く書いている「大衆心理」が大きくなり過ぎました。

 

私が株を買った当時は、辛辣な声しかありませんでした。倒産の危機でした。

 

本来、投資は辛辣な声がある時=悲観で買い、楽観で売るのがセオリーです。つまり現在は間違いなく「買い」の相場なのですが、長期投資する場合でもこういう見方は非常に重要です。競合と比較して利益構造がどうなっていくか、長期的に勝てる算段をしているのか、本当のブレイク・ポイントはいつになるのか、を客観的に見ていきたいと考えています。

 

単なるシミュレーションで、本当にざっくり計算しているだけなので、NIOの本来の事業内容とは恐らく合致しません。異論反論も特に受け付けてませんので、ご留意ください。