米中での事業に携わってきた中で、面白かった経験を聞かれることがあります。英語が話せる米国よりも、中国語が全く分からないまま乗り込んだ中国のほうに楽しさを感じてます。
もちろん、難しさも感じました。今でも難しいと思っていますが、この両国で事業を営んでいる日本人経営者を本当に尊敬します。想像を絶する努力をされていると思いますが、話の主旨がズレるので苦労話はやめておきましょう。(多分苦労を苦労と思っていないはず)
中国で楽しさを感じた理由の1つは、現地政府の様々な都市型プロジェクトに誘致して頂いたからです。
固有名などは書けませんが、書ける範囲で忘備録的に書いてみようと思います。
山東省・臨沂市
臨沂市では、National High-Tech Industrial Development Zoneという開発区に誘致して頂きました。
中国では豊富な土地と資金力で、このような開発区を立ち上げ、有力な企業を誘致することで税収を長く確保しようというプロジェクトが各地で立ち上がります。
私は医療・ヘルスケア分野なので、中国が注力したい分野の1つということもあり、様々な地方政府から声をかけて頂きました。繋いで下さった方(R社長)には、本当に感謝しかありません。
山東省は、私が別の媒体で書いているキングダム考察でも、非常に興味深い土地だと思っていたところです。
四川省成都・温江区
成都市温江区からご招待頂いたのですが、こちらは「The Healthy Garden City」という、ヘルスケアに特化したプロジェクト。
肝になるのは医療×医薬×医学をビッグデータとAIでインテグレートしようというもの。まさにピッタリのプロジェクトでした。
都市開発込みで企業誘致しますから、周辺には当然レジデンスが建設されたり、電車の駅が出来たり、公道が整備されたり…しかも、誘致された企業同士でビジネスシナジー効果が生まれるので、Win-Win-Winです。
もちろん、税制優遇措置が設けられていたり、補助金が出たりします。真新しいオフィススペースも準備されていたり、いたれりつくせりですね。
四川省成都・彭州市
成都は古くから「天府の国」と呼ばれてきたので、パンフレットにも天府(Tianfu)と書いてあります。
彭州市はあの四川地震で被害が大きかったところ。当時の爪痕は分かりませんでしたが、多くの方が被災して大変だったのを記憶しています。私も福島県出身ですから、他人事とは思えませんでした。
彭州市のアセットと言えば、生薬(漢方)です。実際に栽培地も見学しましたが、生産からQC(Quality Control)まで、一貫して政府が徹底管理しています。この豊かな土壌は、龍門山脈からもたらされる豊富な水量のおかげでしょうね。
赤く囲ってあるところが彭州市で、西側は龍門山脈。
ここを超えると青海省やチベットに通じます。山間部にはアバ・チベット族チャン族自治州があります。チャン族とは羌族のことです。書きたいけど割愛。
中国では中医が確立され、中医専門の医師が漢方を処方したりします。下記はWeDoctor(微医)アプリのキャプチャーですが、中医院や中医医師もきちんと繋がるようになっています。
手厚い歓迎
ご紹介した以外でも、山東省・威海や深セン、山西省・太原市など本当に多くの政府からお声がけ頂き、全ての場所で手厚いおもてなしを受けてきました。言葉が通じないのがもどかしいとは思いつつ、英語を話せる若い中国人も多いので、コミュニケーションを取るのが楽しいです。
私は中国の歴史が好きなので、その話をすると喜んでもらえます。本当は戦争のことや、日本軍がやったこと謝ったりもしたくなるのですが、皆さん一様に「未来を見ている」感じがするのです。
そこに停滞・荒廃・弾圧・抑制などなく、全てにおいて勢いを感じる。行かないと絶対に分からない。肌感覚で入ってくる情報に対しては、人は無力であって、受け入れざるを得ません。圧倒的なパワーが、中国という国土に充満しています。もちろん、「中国らしいなぁ」というところもありますよ。
だから、日本に長く滞在すると「中国に行きたい」という気持ちが湧いてきます。日本だと、仕事をする気になりません(笑)。やる気が漲らないというか…「ここにいたら成長しない」と体が分かってしまっているのです(言い訳)。
中国各都市でそれを感じるわけですから、それがまがい物でも何でも無いことは誰でも分かります。
…とつい長くなってしまいましたので、このあたりで終わりにしたいと思います。個人的には、四川省成都が大好き。大発展するポテンシャルしかないと考えています。面白いことに、アメリカではテキサス州プレイノ以外ではこういう感覚にならなかったことだけは書いておきたいと思います。
※感じ方は人ぞれぞれ