ZUUMA|直感投資と戯言

直感投資家。チャートも見ますが時事ネタ等から直感で動くスタイルです。記事は話半分以下でお読みください。キングダムの考察はnoteで更新中。https://note.com/kazugaga

中国|恒大集団は間違っていた

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恒大集団が中国政府から虐められているような雰囲気が蔓延している日本ですが、債権問題が1年前に持ち上がった時に記事を書いた通り、「根も葉もない噂」として一蹴したのが恒大集団の本質です。

 

そう言ってしまった手前、色々と取れるべき手段を講じないまま(講じようとはしていた部分はありますが割愛)、あれから1年が経過しました。

 

房住不炒(家は金融商品にあらず)

 

2016年末の中央経済作業会議で、「住宅は投機ではなく生活のため」という不動産投機を抑制するスローガンが初めて提唱されました。つまり、不動産というのは居住するためのものであって、投機的な不動産投資活動によってGDPや税収に影響を与える環境は不健康だということです。不動産市場の着実かつ健全な発展を促進することを目的としたもので、2017年12月、2018年12月、2019年12月の中央経済作業会議においても、同様の議論とメッセージが出されてきました。

 

このようなプロセスをすっ飛ばして、「中国共産党は鬼だ」とか「不動産会社が今度は目をつけられた」という極端な論調は健全ではありません。先日、キヤノン国際戦略研究所の記事もご紹介しましたが、情報ソースが米国発信に偏っているため、中国側の正しい経済情報や政策情報が入って来ないのです。

 

話を戻します。

 

このような流れの中で、2020年8月20日以降、中国の規制当局は国内12のデベロッパーに対して新たな融資規制を課しました。デベロッパーの銀行借入に制限を設ける「3つのレッドライン」政策です。つまり、「健全な財務を逸脱した不動産の建て過ぎはダメですよ」ということです。

 

点ではなくて線で見れば、理に適った政策だということが理解出来るはずです。

 

12のデベロッパーの中に、恒大集団(Evergrande)が含まれていましたので、恒大集団だけが狙われたわけでもなし、恒大集団だけの問題だけでもなし、です。

 

Sunac China Holdings Limited(融創中国)

China Evergrande Group(恒大集団)

Country Garden Holding Co. Ltd(碧桂園)

Zhong Liang Holdings Co. Ltd(中梁控股集団)

Greenland Holdings(緑地控股集団)

 

Greenlandなんて、そもそも国営ですからね…政府側のメッセージに真摯に向き合い、企業体質の改善が出来たはずです。それでも改善しなかったのか、名指しでレッドライン政策を発動した流れです。恒大以外もヤバいですよ。

 

 

 

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結果として、不動産売買価格は下がり、国民が住むための家を適正価格で購入できる市場へと浄化されていくと思っています。当然、不動産投資目的の投資家は減るわけで、バブルを抑制する効果にもなるでしょう。不動産を転がして金儲けしようとする人は淘汰される。私も一時期、威海あたりの不動産が欲しいと思っていましたが、どの国においても不動産投資が難しい(面倒くさい)という例に漏れず。中国でのゴーストタウンが無くなって欲しいと願う気持ちもあります。

 

このように、国が違えば政策も異なるわけです。中国は中国なりに健全な不動産マーケットを整備する政策を進めてきたので、突然習近平が厳しくなって独裁国家だ!という批判は的外れです。

 

その上で、あぶれた不動産は国が没収すると思いますので(これも中国ならでは)、これも国によって手法が異なるわけです。

 

日本の不動産マーケットが健全と言えるかどうか分かりませんが、健全化を目指す他国の政策を悪く言う意味はほとんどありません。情報を自ら調べて咀嚼できるようになるのは、投資にとっても非常に重要な能力ですよね。