※この記事は2020年9月11日に書いた記事の再編集版です。
本題に入る前に、今所有している、フィリピンのレジデンス(コンドミニアム)を少し振り返ってみたいと思います。
<50F建てコンドミニアム 最上階・2BD/90㎡>
■購入時:13,880,000ペソ(27,898,800円)
■現在の評価額:27,577,856ペソ(68,247,637円)
■売却益:13,697,856ペソ(40,348,837円)
■リターン率:+144.63%
(物件価格上昇率:+98.687% 為替上昇率:+23.12%)
※1PHP=2.4747JPY(2022年10月12日現在)
2012年にプレビルドで購入し、10年経過しました。2019年に、フィリピン・UK・香港の評価において5スターを獲得した物件です(上記画像)。
前述した売却益は「仮に今売却したら…」という場合のお話です。現在は月22万円で賃貸してますので、年間264万円の家賃収入(年間利回り9.46%)があります。
(情報)Makatiの賃貸相場は955ペソ/㎡です
この物件は立地も良く、マニラのAyala Street沿いにあります。東京で言えば…大手町とかそんな感じの街に物件が建っている感覚です。
最上階の部屋から、発展しているマニラを一望できるビューは圧巻で、私が極度の高所恐怖症でなければ自分で住んでも良いと思っていたほどです。高いところはダメなんですよね…
購入から10年で倍以上になっているので、売っても良いかなぁと思っているところです。円安ですし。
コンドミニアム内にレストラン8軒(和食あり)、クリニックや美容室、ジムやプール、テニスコート、シガーバー、シアタールーム、3Dゴルフシミュレーションなど3フロア分がクラブハウスになっていまして、それらを利用するには会員権が必要。この会員権込みで不動産を購入しています。差別化ポイントですね。さらに地下にはスーパーもあります。外に出なくても、生活が可能。マニラのポロクラブなんて、会員権を持っているのは富裕層ばかりですからね。
この付加価値が、部屋そのものよりもかなり大きい差別化なのです。
日本人が海外不動産投資に失敗する理由
日本以外のアジア、特に新興国で不動産投資をした日本人が投資的に成功する確率は…私が知る限り5%以下だと思います。
ほとんどの人が大きく勘違いしている点が2点あります。ドキッとしてください。あくまでも投資用不動産です、住居用ではなく。
①ついつい「予算的に買える不動産」を買ってしまう
②値上がり=転売可能価格と思ってしまう
この2つの「しまう」がある限り、日本人が特に新興国において素晴らしい不動産投資の成果を収めることは非常に困難です。
①は大前提です。「予算が1,000万円だから…その1,000万円で買える不動産がいいです」という投資家がいたら、「おとといきやがれ!」と私なら言いたいです。ところが不動産業者はそんな優しいことは言いません。売れれば良いので。
もし高値転売を狙うなら、物件選定の第1条件は「買える不動産を買うな、売れる不動産を買え」です。
買っても売れない不動産が新興国にゴロゴロしているのをご存知でしょうか。特に新興国でプレビルドがバンバン建設されているような地域では、どうでもいい安い物件などいち早く値崩れします。自分の予算目線で選定するのではなく、買い手の目線で選定しなければなりません。
「売れる不動産」とは何か。
フィリピンではメイドさんの文化があるため、出来ればメイドさんが滞在できる部屋があったり、広い部屋がないと買い手のお眼鏡にかなうことはないでしょう。予算目線で買った結果、賃貸もつかずに塩付け…という不動産はかなりあります。日本人が手を出しそうなところは特に多いです(マレーシア・ジョホールバルなどは実際にそうなりましたね)。
値上がりしたら売れるのか
②は99%の日本人が勘違いしていること。「値上がり=儲かる」と完全に思い込んでいることです。私の物件で話をしましょう。
2,800万円で購入し、6,800万円に値上がりしている
あなたが買い手(バイヤー)だとして、フィリピンで不動産投資をする!と仮定しましょう。あなたの予算は6,800万円です。出来れば賃貸をしつつ、値上がりしたら転売してキャピタルゲインを得たいと思っています。
あなたは、フィリピン不動産を調べると、プレビルドで3,000万円の物件Aがありました。不動産屋から提案された私の6,800万円の物件Bも確かに良いのですが、10年経過して値上がりしてしまっている。
さぁ、あなたは物件Aと物件B、どちらを購入しますか?
99%の投資家が、プレビルドの物件Aを購入し、余った予算でもう1軒のプレビルドを購入するでしょう。それでもお釣りが来ます。
何を理解すべきか
新興国で、かつ、プレビルドがバンバン建設されているような新興国では、値上がりした不動産を買うバイヤーはほぼいません。理由が投資なら尚更です。自分だってキャピタルゲインが欲しい。キャピタルゲインがフルに乗っかっている物件など、一体誰が買うのでしょう。
バイヤーの気持ちに立って考えれば分かることです。
私の物件も、机上の計算では約6,800万円に値上がりしています。ただ、6,800万円でバイヤーが現れるかどうか、これはまた別の話です。
新興国では、不動産価値はほぼ間違いなく上がるでしょう。そこでEXIT出来るかどうかは、セカンダリーマーケット(中古不動産転売市場)のバイヤー層が増えるまで待つしか無いのです。土地が飽和して、供給より需要が上回るまで。これには相当時間がかかりますよ。
①と②から理解しなければならないことは、出来るだけ差別化された「売れる物件」を購入すること。セカンダリーマーケットが育たなくても、「絶対ココが買いたい!」と思うほど魅力的な「売れる物件」だったら理想的です。立地だったり、部屋のグレードだったり、レジデンス内の設備だったり。
そうでなければ、賃貸しつつ転売の機会を待つしかありません。ありふれたグレード、仕様の海外不動産を勢いで買ってしまって、売れずに後悔している投資家は多いですよ。相当います!
不動産エージェントも、「頭金だけ支払えば転売できますよ」と言ったり、「値上がりバッチリです」と言ったり、適当です。それを言うなら、セカンダリーマーケットの需要をきちんと示すべき。蓋を開けたら売れずに維持費もかなり取られる…税金も高い…と踏んだり蹴ったりになります。
こういう投資の実態を、自らの実体験を通してアドバイスしてくれるアドバイザーが、日本にはほとんどいません。不動産業者は売れればいいので、「やめたほうがいいですよ」とはなかなか言えません。自分で買ってない場合がほとんどですから。本当にいい物件であれば、真っ先に自分で買うはずです。
人は上昇を期待して購入に導くアドバイスに対して(業者に)報酬を払いはしても、リスクを諭して購入しないことを導いたことに対して報酬は払いません。前者は結果的に損をしても払い済みの報酬は戻ってきません。逆に後者は結果的に損失を防いでいる可能性があるので、報酬はあって然るべきだと思いますが、なかなかそうも行かない世の中ですねぇ。
海外不動産投資、聞こえは良いですが実態はそうとも言い切れません。
お読み頂きありがとうございました。