ZUUMA|直感投資と戯言

直感投資家。チャートも見ますが時事ネタ等から直感で動くスタイルです。記事は話半分以下でお読みください。キングダムの考察はnoteで更新中。https://note.com/kazugaga

コラム|10年、20年遅れの日本人による中国理解

断言します、日本はガラパゴスです。

 

中国に渡航したこともない日本人が理解する「中国」は、10年~20年前のイメージです。それは、近いようで遠い国であることと、日本のメディアが報じる中国は「なぜか鉄柵に頭を挟まれる」か「交通事故」の映像に特化していることが原因です。

 

あえて中国側に原因があるとすれば、「巨大すぎて実像を説明しにくい」点にあるのではないでしょうか。私も仕事で様々な都市に滞在してきましたが、訪れれば訪れるほど、「なんてデカい国なんだ」という壁にぶち当たり、理解を深めようとしているのにこの国の広さと大きさと深さを思い知らされるのです。

investmax.hatenablog.com

 

 

私でもこのような感じなのですが、政治に関してはもっと謎が多いはずです。特に中国共産党=悪という図式は、「天安門事件」が米国主導のカラー革命であったことが隠蔽され、人民弾圧というプロパガンダに利用されたからでしょう。

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中国を理解するための全てを網羅することは出来ませんので、今日は中国共産党、特に習近平が中央の腐敗に対して何を発言し何をしてきたのかを紹介したいと思います。客観的事実として捉え、批判する前に認めるところは認め、米国の手下として形骸化した日本政府と比較してもらうと良いでしょう。

 

習近平が言い続けてきたこと

「言っていることとやっていること」が一致している人は信用に値します。これは仕事でもプライベートでも同じだと思いますし、国政についても同じでしょう。

 

中国において習近平の支持率が非常に高く、批判はあるにせよ中国人が団結して国力増強に向かっている姿は、日本では「締め付け」としか報じられません。別の記事でも掲載しましたが、「自国が民主的である」という民主主義陣営のアンケートでトップに立った国が中国なのです。他国がどうこう言う前に、これが実情だという認識からスタートしましょう。

 

過去記事参照。

investmax.hatenablog.com

 

今回掲載する内容は、潘さんの著書から引用させて頂きます。タイトルは大変愛国心に溢れていてビックリすると思いますが、近年の中国を理解する上ではマストだと思います。

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まず、習近平の発言を取り上げます。

 

「党内の風紀の乱れは決して小さな問題ではない。断固とした態度で正さず に放置すれば、見えない壁が党と人民を隔てるだろう」

「われわれは人民と心を通わせ、人民と苦楽を共にし、人民と共に団結奮闘する」

「共に頑張ろう。党の栄光ある伝統と優良な風紀を継承・発揚し、人民大衆 と共に着実に仕事を全うしよう」

「問題に目を向け、細部から着手し具体的に手を打つ。 途切れることなく一つ一つ解決して行けば、小さな勝利を積み重ねて大きな勝利を得ることができる」

「風紀の改革において、われわれは退いてはならない。退くこともできない」

「常に、細かく、長期的に問題点を抑え、努力を続けてこそ功は永らえる」

 

会社経営している人なら大変共感すると思いますが、リーダーシップとはこういうことだと思いませんか。但し、言うは易く行うは難しであり、習近平を評価するには「何をやったか」という行動がベースでなければなりません。

 

結論から先に書きます。習近平は、中国史上で恐らく初めて、中央政府の腐敗と決別した最初のリーダーです。「贅沢の始まりは、滅亡の始まりである」という中国の古訓を実行したわけです。これは個人にとっても当てはまります。

 

習近平がやったこと

話を戻しましょう。習近平は党内の風紀の乱れを根絶するために「八項目の規定」を発表し、徹底的に取り締まりました。中でも①公費飲食②クラブへの出入り③公用車の私的利用の3つはこれでもか、というほど徹底させました。

 

日本人が好きな言葉「締め付け」をしたわけですね。それは人民に対してではなく、まず党内の規制強化でした。

 

<高級クラブの小話・白雲山>

広州の観光名所・白雲山に「望景餐庁」という会員制の高級クラブがあった。かつて共産党幹部たちが通っていたクラブで、最低消費額でも8888元(本日のレートで17.4万円!)であった。既に失脚した前広州市・共産党委員会書紀の万慶良も常連の一人だった。「クラブへの出入り」の取り締まりが始まると「望景餐庁」は路線変更によって大衆化され、現在はビーフンの店となっている。かつて、広州市民がここを通ると、正面玄関はいつも閉じられたままで、中のことは一切知り得なかった。今では「市民に開放されたおかげで、山登りをしてここでビーフンを食べながら一休み、周りの美しい景色を眺められる」と喜ばれている。

 

この取り締まりについては枚挙にいとまがないほどで、2016年には中国全土、特に北京・上海・広州・杭州で、乱れたクラブ512軒を取り締まり、456軒が処分された。ゴルフ場は187か所が閉鎖され、北京駐在機関625か所を精査し、北京に置いた地方政府の駐在機関は全て閉鎖させたのです。

 

さらに、職権を濫用して民間企業で要職を兼任し報酬を受けていた党・政府幹部4万人余り、同じく関連企業で要職を兼任した国有企業・政府系事業組織の幹部2万人余りが処分されました。そのうち358人が、党中央組織が直接管理する高級幹部である「中管幹部」であったとのことです。

 

2012年12月から2017年8月までの約5年間で、習近平が打ち出した「八項目の規定」に違反した案件17万6100件を取り締まり、党員幹部23万9000人を処分、12万8000人に登紀処分を下し、平均すると1日2桁以上の者が処分されたことになります。新華社通信の統計によると、この活動は92%超の中国人から支持を集めたようです。

 

権力は甘い蜜に繋がっている

権力とは甘い蜜を吸うためのものでもあります。これは歴史が証明しています。故に、過去の権力者はその甘い蜜を吸いすぎて自滅の道を歩むのです。人民は、甘い蜜で私腹を肥やしたリーダーを見て、「自分たちは国に搾取されている」と感じるわけです。習近平は過去のリーダーの過ちから学び、何をすべきかを理解しているようです。

 

にわかに信じがたいことですが、習近平の年収は日本円で280万円ほどと言われています。

 

Greater Chinaの主として、いかに習近平が国家改造をしてきたのか、そして今の中国が世界を代表する国力を手に入れたのかは、推して知るべしですね。規律のあるリーダーが手本を見せられるのは、実は一番の強みです。共産党の規律が、国民に浸透することで(時間はかかると思いますが)、統制の取れた国になっていくのでしょう。それがイメージ出来ます。

 

日本

財務省が『八項目の規定』を引用したレポートを掲載しています。
習近平政権下の政治―集権化とその意味 - 財務省

 

他国の批判をすることは簡単ですが、必要ではありません。学べる部分を見るべきで、それは日本の政治中枢にいる方々や官僚が自分の胸に手を当てて問いただしてみると良いでしょうね。実態とかけ離れたレポートを掲載すること自体が、ガラパゴスであることを自ら証明しています。

 

GDPを始めとした国力の増加、新たな経済圏の創生、革新的技術への投資など、中国が成長し10年、20年前の姿とは異なってきていることを、日本は国民に対して隠したいのでしょうか。

 

いずれにしても、メディアの情報に踊らされれることなく、隣国がどんな未来を描いて動いているのかをウォッチしていきたいですね。私見ですが、中国と日本が本質的に手を結ぶことが出来れば、世界をより良いものに変えることができると信じています。そのためであれば、どんな壁でも越えられる気がします。なぜなら日本文化の多くのルーツが中国にあるからです。どちらが上でもなく、どちらが下でもない。ただ、現状を冷静に見れば、政治手腕は習近平に利があるようです。

 

※習近平3期目を迎える頃、日本では『側近で周りを固める』というような報道がされると思います。それは別に悪いことではなく、お友達内閣とは異なることがこの記事から分かるはずです。腐敗との決別は、日本政府がやりたくても出来ないことです。

 

<あとがき>

私見ですが、習近平はおそらく諸葛亮孔明に習った部分があると感じています。蜀の時代、政治を執り行った孔明が大赦を実行したのは蜀漢建国時のたった1回でした。孔明いわく「政治の基本は大徳にある。大きな徳さえあれば、赦のような小恵は不要である」としたのです。

 

この厳格な法治主義が蜀の人々に根付き、孔明の治世を後の代まで慕わせることになった要因は、孔明の無欲な人格的要素によるところが大きいと思います。これは司馬遼太郎が「街道をゆく20~中国・蜀と雲南のみち」でも述べていますが、政治のトップ自らが質素倹約に生きるからこそ、国を統べる説得力が増すというものです。習近平が自ら実践することで、国民を説得するのではなく納得させるという道を、孔明から学んでいるように感じるわけです。